葡萄のグリーンカーテンでゆりかごから墓場まで?

建物の南側のウッドデッキに葡萄を誘引している。春から秋にかけて重なり合う葡萄の葉陰を、様々な昆虫が棲み家や狩場として利用している。オオカマキリも然り。

翅にホクロのある茶色のカマキリ

2022年の春にこのウッドデッキで孵化したカマキリの卵嚢は二つ。注意深く葡萄を眺めていくと、たいていどこかにカマキリの姿がある。

下画像の艶っぽくポーズを決めた長期滞在中のメスも、我が家生まれのカマキリの可能性大だ。褐色型のこのカマキリ、グリーンが差し色になっている翅の付け根に黒い点があって、個体識別ができる。初めて写真に収まったのは10月14日。名前をレディ・ブラウンとしよう。

ウッドデッキに住み着いた茶色のカマキリ
羽の付け根近くの黒点が目印:20221014撮影

ウッドデッキと葡萄の枝は茶色で、葡萄の葉は緑色。彼女のボディカラーはとても優れた保護色になっていて、どこかにいるのはわかっているが見つけられない日もある。そして時折、わかりやすい場所にひょっこり出てきて写真に収まってくれる。

ウッドデッキの屋根桟を歩く蟷螂
屋根裏にいることもある:20221023撮影

なかなかカメラ慣れした良いモデルさんで、近距離にカメラを近づけても威嚇することなく撮影に応じてくれる。

カマキリの顔
茶目っ気のある表情・・・:20221028撮影

冬の兆しが感じ取れるようになると、レディ・ブラウンは日のあたる柱に陣取って日向ぼっこすることが多くなった。

ウッドデッキの柱にいるオオカマキリ
日光浴中:20221105撮影

ウッドデッキに産卵あり

こちらは別のカマキリ。緑型のオオカマキリが西日を浴びながら屋根に産卵中。

緑型のオオカマキリも幾度かウッドデッキで見かけていたけれど、同一個体か確信が持てない。こちらはマダム・グリーン。

ウッドデッキの屋根裏に卵を産みつけるカマキリ
毎年1つは屋根に卵が産み付けられる:20221115撮影

こんな風に屋根のポリカに直接生みつけられた卵は、例年3月に孵化が始まる。今年、このウッドデッキでは既に3つの卵嚢を葡萄の枝に確認している。この3つの孵化はおそらく5月になるだろう。温度が関係しているみたいだ。

この時点で2匹のカマキリは5メートルほど離れていた。

2匹のカマキリが出会ってしまった

産卵の翌日、ふと見上げると葡萄に2匹のカマキリがいる。両者の距離は1メートルもない。それに、互いの存在に気づいているようだ。

レディ・ブラウンとマダム・グリーンが出会ってしまった。何かが起こりそうだ。

ウッドデッキに誘引した葡萄で2匹のカマキリ が遭遇
互いの存在を認識したらしい:20221116撮影

上記の撮影から40分後。
どう見ても、チェイスが始まっている。追うレディ・ブラウン、逃げるマダム・グリーン。

カマキリのチェイス
追いかけている感あり:20221116撮影

どう決着がつくかわからないけれど、彼女らの行動に影響を及ぼさないように、身をかがめてウッドデッキの鉢植えに水やりをする。

逃げるカマキリ
がんばれマダム・グリーン:20221116撮影
追いかける茶色いカマキリ
こっちもがんばれレディ・ブラウン:20221116撮影

そして、翌日

翌朝のこと。

毎朝の掃き掃除(葡萄の落葉がすごいのだ)の際、天井の桟にいるマダム・グリーンの無事を確認した。
この時、レディ・ブラウンを探したけれど、発見できず。

そして、午後、葡萄の葉裏で2匹のカマキリが絡み合っていた。

カマキリの共食い
決着が付いたところに遭遇:20221117撮影

この時、両者が蠢いていて、何がどうなっているのか確とは認識できず、とりあえず数枚撮影して急いでこの場を離れた。
干渉したくなくて。

画面で確認して、レディ・ブラウンがマダム・グリーンを捕らえたことがわかった。そうか。そうなったか。

翌日、この場所の真下に緑色の手足が散乱していた。

カマキリに食べられたカマキリの残骸
四肢のパーツが散らばっていた:20221118撮影

マダム・グリーンの残った体は葡萄の葉とともに庭の紫陽花の足元に運んだ。この庭で生まれて、この庭に戻るのだ。