梅の静かな開花

東の庭にある品種不明の実梅は、我が家で一年で最初に咲く花だ。素人剪定のせいで花の少ない年もあるが、今年はたくさん咲いてくれた。でも、ミツバチたちの賑やかな羽音が聞こえてこない。

この梅は毎年1月に満開になる。下の画像は1月23日のもの。この写真を撮影するときに違和感を感じた。

少し考えて気付いた。静かすぎるのだ。

品種知らずの白梅の花
静寂の中で咲く梅の花:20240123撮影

大分県にある我が家。冬に雪が降ることもあるけれど、太陽が出る日は風さえ吹かなければ寒さも緩み、真冬でも昆虫たちは活動する。この梅の花に他に先駆けて姿を現すのがミツバチ。満開時にはブンブンとうるさく飛び回るのが常なのだ。

でも、今年はその賑やかさがない。

アインシュタインがミツバチが絶滅した4年後には人類も滅亡すると言ったらしい。羽音の聞こえない満開の梅の傍で、そんなことを思い出してしまった。

この文を書いているのは春分の日、3月20日。梅の枝にはポツリポツリと膨らみ始めた果実が見える。まだミツバチは見ていないけれど、スズメやヒヨドリ、メジロたちが受粉してくれたのかもしれない。羽音なく飛ぶヒラタアブには出会うのだけれど。

まだまだある早春の花

いく本かの常緑樹を除いて茶色っぽい庭のあちこちで、常連の花たちが咲いている。お向かいの家から分けてもらった水仙は3年目を迎えて、かなり株数を増やした。今年は株分の予定。品種は不明。

水仙の花
一日中日の当たる場所で増殖中:20240204撮影

アスファルトとブロックの隙間ではスミレが頑張っている。これは蟻たちの贈り物。年によってはビオラがここから生えてくることもある。

アスファルトの隙間で咲くスミレ
アリに運ばれたタネからあちこちで花ひらく:20240309撮影

思いがけず、杏が花をつけた。1年苗を鉢植えにして、2年目の冬を越したから、3年苗の開花ということになる。品種はニコニコット。この冬に植え付けるつもりだったが、もう根が動き始めているかもしれない。時期を逸してしまった。ふんわりした印象の愛らしい花だ。ただ、こんなに密に咲いた花にもミツバチが来ない。

杏(ニコニコット)の花
1年苗を購入して2度目の冬を越した:20240314撮影

3月も中旬になると、ホトケノザの背丈が伸び始めた。白い花はハナニラ。引っ越してきた2016年にはなかった花だが、2019年に一株出現。それから徐々に勢力を拡大している。

ハナニラとホトケノザ
ハナニラとホトケノザ:20240314撮影

鉢植えのニオイ椿、「港の春」も今が満開。小ぶりでコロンとした形の愛らしい花で、顔を寄せると甘く香る。花が咲き終えたら鉢増しの予定。

匂い椿(港の春)
甘い香りの小ぶりの花をつける:20240317撮影

もうじき4月になるのにミツバチに会えないのは異常なのか?あるいは我が家に来ていたのは養蜂家の巣箱にすむ蜂たちで、今年は別の場所に移動しているだけなのか?

なんだかモヤモヤする春だ。