柘植の木の蜘蛛マンション

敷地の端に樹高70センチほどの柘植があって、ここ数年コクサグモたちが巣をかける。季節外れの夏日の終わりとともに蜘蛛たちも姿を消していく。

コクサグモのお宅拝見

樹高1メートルに満たない柘植の木を覆い尽くすように、14匹のコクサグモが巣を作っている。アスファルト道路とコンクリート張り駐車場に囲まれた細長い花壇の端にあり、一日中陽の当たる場所だ。

コクサグモの巣だらけになっている柘植の木
柘植の木に14匹のコクサグモが巣をかけていた:20231021撮影

どの住居も広いテラスと、こじんまりとした洞穴のような巣穴を備えている。

柘植の木にかけられたコクサグモの住居
棚網と筒状の住居があるコクサグモの巣:20230828撮影

コガネグモやジョロウグモは空中に張った大きな巣で雨ざらしの生活をする。柘植を覆い尽くすコクサグモたちの住居はどれも快適そうで、こんな家なら一泊してもいいな。ササグモの家をもたない主義も好きだけれど。

柘植が一番入居率が高いが、この蜘蛛はルリマツリにもグレビレアにもナンテンにも巣をかける。細かな葉が密に茂る植物が好きらしい。下はルリマツリに住んでいるコクサグモ。

ルリマツリに作った巣の中にいるコクサグモ
ルリマツリにも数匹が巣をかけていた:20231019撮影

水平に、密に糸を巡らしたこの蜘蛛の巣は、雨が降ると水滴でキラキラ光る。

雨つぶがまとわりついたコクサグモの巣
雨の日のコクサグモ:20231009撮影

そんな時、蜘蛛たちは快適な巣穴にすっぽり入る。

下は、バラの茎の間に巣をかけたコクサグモ。落ち葉を利用した素敵なテントを持っている。

枯葉で作った巣穴にいる雨の日のコクサグモ
バラの枝の間のコクサグモの巣:20231009撮影

時には地面近くの下草に巣をかける変わり者もいて、歩く時にはつま先に引っ掛けないように気を遣う。

地表近くの下草に作られたコクサグモの巣
スギナとドクダミの葉を利用したコクサグモの巣:20231021撮影

秋風とともに姿を消したコクサグモ

11月になると急に寒くなった。柘植の木の住居は軒並み空き家になった。巣を去る時が訪れたのか。

1匹だけ残っていた。人が近づくと素早く巣穴に消えるコクサグモだが、寒さで弱っているのか動きが鈍い。

11月のお腹の丸いコクサグモ
ほつれかけた棚網の上のコクサグモ:20231112撮影

糸を巡らしたテラスの手入れもまなならぬ様子。

お腹がぷくりと丸い。産卵時期なのだと思う。

重たげな丸いお腹のコクサグモ
コクサグモの皿網の糸には粘着力はないらしい:20231112撮影

コクサグモは壁面に卵嚢を貼り付けるように産みつけた後、覆いかぶさるように保護するという。この個体もじき巣を捨てるのだろう。

全てのコクサグモがいなくなったら、少し時期が遅れたけれど柘植の剪定をするつもりだ。

12月7日追記:柘植の木を剪定

上の写真のコクサグモは2日後に死んでいた。もう幾日か暖かければ子孫を残せたかもしれない。

蜘蛛たちは去ったが、12月まで待って柘植の木を剪定した。剪定といっても、大雑把に丸く整えただけだけど。

柘植の木を丸く剪定した
まん丸にするのは難しい・・:20231207撮影

今、柘植にはツチイナゴが住んでいる。剪定の際、日光浴を邪魔してしまったが、すぐにこの木に戻ってきた。

柘植の葉上で日光浴をするツチイナゴ
1匹のツチイナゴが柘植の木を利用中:20231207撮影

ここで越冬するみたいだ。