ふっくらお腹も愛らしく、ドクロ面は麗しく
2016年に越してきて毎年この庭にクロメンガタスズメの幼虫が現れるけれど、成虫は3年前に羽化途中の個体を一度見かけただけ。
今回初めて羽化の完了した成虫クロメンガタスズメに出会えた。
羽化はいつも夕刻?フェイジョア受粉中に発見
西の庭に植えているフェイジョアの満開中に九州北部が梅雨入りしてしまい、晴れ間をぬって人工授粉をしている。昨夕(6/5)ポツポツ落ち始めた雨の中で受粉作業をしていると、花のついた枝先の裏側に黒い物体がくっついているのに気づいた。
この、黒と山吹色が混じった色合いは・・・もしや!
クロメンガタスズメのふっくらお腹
そっと枝を持ち上げてみた。これは、これは、やっぱり!クロメンガタスズメではないか!
3年ぶりの成虫との遭遇にテンションが上がってしまい、枝の下に潜ってパチリ、お尻からパチリ、顔を接写でパチリとクロメンガタスズメの写真を撮りまくった。
すると突然、ギイギイ鳴いて翅をはためかせ、枝から落ちてしまった。
手乗りクロメンガタスズメという至福
慌てて草むらをかき分けて、クロメンガタスズメの頭をすくい上げるように手を出すと、しっかり指を歩いて登ってきた。
びっくりさせてごめんよ。
手の上のクロメンガタスズメをマジマジとみる。2000年に出会った個体は羽化途中だったので、ドクロ模様がまだ完成していなかった。これが、この蛾の完成形なのだ。
でも、ドクロ文様をじっと見つめているうちに笑っているピエロが見えてきた。白塗りの顔に垂れ目がちの小さな目をしたピエロだ。赤黒い頬紅を丸く塗り、口角を上げて笑っている大きな口。赤く塗った上唇の際からちらりと見える白い歯、そしてペロンと舌を見せている。
中世西洋の歩兵用の兜(装飾のないシンプルな兜で、鼻ガード付きのやつだ)っぽくもある。垂れ耳の犬にも見えてきた。面白い。
それにしても、重量感といい翅の表裏の色彩といい、ドクロ紋といい、素晴らしく美しい蛾だなあ。毎年幼虫が水耕栽培のプチトマトをかじりにくるけれど、こうして羽化した姿を見せてくれるんだったら歓迎するよ。
雨を避けてウッドデッキの柱にエスコート
いつまでもこの蛾を手のなかに置いておくわけにはいかないので、もといた場所に戻そうと思ったが、本格的に雨が降り始めた。
この蛾が雨宿りできる場所を探して、ウッドデッキの柱に連れて行った。
ここにはゼラニウムが咲いている。以前ヒメクロホウジャクがゼラニウムで吸蜜しているのを見た。クロメンガタスズメもここで腹ごしらえできるかもしれない。
柱に手をくっつけると、クロメンガタスズメは素直に柱に取りついてトコトコ上に向けて歩き、ぶつかったワイヤーに前足をチョコンとかけて静止した。さっき、君は落っこちたけれど、大丈夫かい?
この蛾のことが気になって19時すぎに見にいくと、まだ同じ体勢でいた。
そして翌早朝、姿が消えていた。幸運を!
羽化途中のクロメンガタスズメの獰猛さと可愛らしさが共存する完璧な造形 6月4日、時刻は19時21分。薄暗がりの中、東の庭からウッドデッキに戻ろうとした時、柱に何か塊がくっついているのが目に入り、かがみこんでみて驚愕!蛾で …