夜と雨と、朝の光
陽光の下のバラはもちろん美しいのだけど、黄昏時、乏しい光の中で出会うバラにはドキリとさせられることがある。
雨に濡れた花弁や、目覚めてすぐの朝陽の中で見るバラもいつもと少し違って見えるのだ。
夕暮れに浮かぶ薔薇の顔
名無しの白薔薇は今年も次々と花をつけてくれている。燦々とした光の中では濃い緑の葉色とのコントラストが青空に映える。
けれど光度が足りなくなると全てが暗く沈み、ただ白い花だけが浮かび上がる。
不思議に透明感が増して別の花のような気がしてくるのだ。

すぐそばで咲いているクイーンエリザベスもペッタリとしたピンク色に見えていた昼間より、紅の濃淡を感じる。

手前から、白薔薇(品種知れず)、クイーンエリザベス、奥に見える淡いピンク色はホーム&ガーデン。

妖しさ漂う夕暮れのブルームーン

雨の中、濡れた薔薇
雨の夜、LED灯の下のホーム&ガーデン。
重たげな水滴がスパンコールのように光っている。とても健康的な印象の花なのだが、華やかにお化粧を施したようだ。

1日中日の当たる場所にあるエル(Elle)はこの一年本当によく花をつけてくれた。花弁がしっかりした花持ちの良いバラで香りが良い。
強い茎で雨の中でもしっかりと上を向く。ピンクのようなオレンジのような不思議な色合いをしたこの時の花はケーキの上の砂糖菓子のようだ。

雨の中でうなだれたアイスバーグ。下を向いて初めて臙脂色の差し色に気がついた。11月の花だからだろうか。他のいくつかの花にも同じような赤がある。雨がなければ気づかなかった。

秋雨の中のホーム&ガーデン。春の花よりも格段に色濃い。しっとりと濡れてさらに赤が濃く見える。

朝陽に透けるバラ
白い光が低い位置から花を照らす。
光が通り抜けて花びらがふわりと柔らかい。

朝のバラは優しげだ。

全く同じその日に、同じ花を見るのだけれど、朝のバラと夕方のバラは違う顔だ。花の開き具合の変化はあるだろう、けれどそれ以上に別物だったりする。
私には夕暮れ時の薔薇園は怖く思えるのだ。