右半身不随で倒れていた子猫
去勢・避妊をすると太ってしまう猫もいる。エドはぽっちゃり体型。体質もあるのだろうが、子猫のころに活発に動けなかったこともぽっちゃりの原因かもしれない。
子猫が死んでる。
エドは私の勤務先の駐車場の輪留めの後ろに倒れていた。
車をいつものようにバッグで止めた朝、なぜその日に限って車の後ろに回り込んだのかわからない。荷物を後ろに積んでいたわけでもないし、後輪の空気圧をチェックしようとでも思ったのだろうか。
輪留めに背をくっつけるようにして寝ている子猫が目に入った。人が近づいても全然動かない。傷も見えず、毛皮も綺麗なままだが死体だと思った。
でもなんとなく人差し指でツンと触れてみた。
眼を剥いてシャーっと一発!「うわっ生きてる」
動いたのは首から上。
そしてまた眼を閉じて動かなくなった。
狼狽!出勤前にどうにもほっておけない子猫を発見してしまったのだ!
どうしたかというと、「うわーっうわー」と思いながら、そのまま歩いて30秒くらいのオフィスに出勤。つまり混乱のまま日常の習慣に従ったわけだ。始業の準備中も頭の中で「うわーっうわー」が継続。
早退しました。
上司の出勤を待って、カクカクシカジカスミマセンとお願いし、小さなダンボール箱をもらって駐車場に引き返し、子猫の体を持ち上げると再び「シャーっ」。
怒る元気はあるがほとんど首から下が動けないので捕獲は簡単。段ボールに入れても体を投げ出すように横になったまま。
オフィスの隅にダンボールを置かせてもらって、動物病院の午前の診察に間に合うギリギリまで仕事して早退。
右半身不随のままかもだって
診察によると、首を(たぶん大人猫に)噛まれていて右半身の手足の反射がなく、治らない可能性もあるとのこと。体重600グラム。オス。人馴れ度0。で、そのまま入院。
入院中もケージの中では頑なに入り口にお尻を向け、ご飯は人前では絶対に食べないという野良根性を保持し続け、容態が安定したところで退院となった。
切ない匍匐前進
家に連れ帰り、キャリングケージから引き出すところで「シャー」。
床に下ろすと、カーテンの陰に隠れるべく這いずるのだ。
動かない右手は体の下敷き、首を床に擦り付けるようにして右にズレながらの左手足だけの匍匐前進。
このもぞもぞした動きがこの子の必死の逃亡なのだ。
抱っこの威力
どうやって慣らしたかというと、「シャー」というのをつまみ上げ服の中に入れて抱っこしたところ静かになって、しばらくして「ゴロゴロ」が聞こえてきました。
なんと1分もかからず攻略。
活発な子猫だったら暴れたのかもしれないが、半身不随の猫なので服にinすることができたわけだ。
カーテン登りのない子猫時代
しばらくは、ご飯を食べるときに首を起こした姿勢が保てないので両手で支えなければならなかったり、猫砂トイレは縁があって使えないのでシートのトイレだったりの工夫が必要だった。
右手足を持って動かすリハビリ運動(よくわからないが動かした方が良いかと思って)や、寝転んだままの猫じゃらし遊びがエドの子猫時代だ。
そして多分生後6ヶ月くらいで歩けるようになったと思う。のちに走れるようにもなった。
ただ若干の麻痺は残り、右手での顔洗いや、高いところへのジャンプは苦手だ。
階段を降りるとき右前脚の踏ん張りが崩れそうになるときもあった。今12歳になり、ビッコをひき始めた。
マシュー・ボーンのシザーハンズから
名前のことだが、最初はエドワードだった。2006年にマシュー・ボーンの「シザーハンズ」を見た翌日にエドを見つけたのだ。
「エドワード、シザーハンズ」ならぬ「エドワード、レフトハンド」なんて呼んでいた。
名前はいつもなんとなくだ。
下の写真は一番ぽっちゃりしていた頃。時々ツチノコになるのだ。