肝臓の数値は正常値、経口の食事復活はまだまだ
4月1日に食道チューブを設置したエドである。吐き気があるため規定量のカロリーは取れない段階で、肝臓の数値は早期に改善。ただ、炎症マーカーの数値は高止まり。いまだにひと口ふた口しか、経口で食事を取ることができないまま1ヶ月がすぎた。
治療開始から今までの経緯
3/25日よりご飯を全く食べなくなった。26日にコンベニア(2週間有効な抗生剤)と飲み薬ウルソの処方。強制給餌を行うも苦戦。
4/1に食道カテーテル設置。吐き気どめのセレニア(5日間のみ)と胃腸薬のプリンペランシロップ(1日3回)の処方
4/9日の血液検査では肝臓の数値も黄疸の指標も正常化。ただ、チューブをつけた首に化膿の症状が見られたので、抗生剤をアモキクリアに変更、ウルソは飲みきりで終了。その後、傷口の化膿は治癒。
4/16日の検査では、肝臓の数値は異常なし。ただ炎症マーカー(SAA)の数値が高いため、抗炎症剤プレドニン(ステロイド)の並行投与となった。
4/23日、炎症の数値が下がらず、プレドニンの投与は中止。抗生剤をビクタスに変更。エコーでは病変はなし。
流動食は1日200kcalを目指すも、及ばぬままである。
1日最低200kcal必要だが1回60mlでほぼ確実に吐く
エドにごゴハンを食べさせる(入れるという表現がふさわしい)際、流動食の前に5ml、後に10mlの水の注入が必須だ。一回の注入量は50mlほどに抑えるよう指導されているので、流動食は35mlが規定量となる。吐き気どめを食前に入れる場合は薬の前後に15ml必要なので、流動食が20mlになってしまう。それで1日200kcalを入れるというのは不可能に近い。
最初の頃は吐き気どめの薬無しにはご飯が食べられず、1日100kcalを下回っていたが、それでも肝臓の数値と黄疸の指標は正常値に戻った。
その後、吐き気どめ無しになんとか流動食を入れられるようになった。けれどカロリーを稼ごうと60ml近く入れると吐くことが判明。一回の最大量を55mlと見て、流動食は40mlを限界値とした。
それでは流動食自体のカロリーをあげようと試行錯誤。今のところ吐かず、ウンチも良好と判明しているのはロイヤルカナンのクリティカルリキッド。ただお財布に優しくない。おかげで我が家のエンゲル係数(懐かしい)はウナギ登りである。これは1ml=1kcalのリキッドだ。
理想は1日5回。4時間から6時間の間隔を開けてロイヤルカナンのリキッドなら40ml×5回で200kcal達成なのだが、食べられないことが主症状のエドの胃の許容量にはムラがあり、このリキッドを使っても、時間をあけても、少量でも、吐くときには吐くのである。
エドのご飯セット
下はある日のエドの朝ごはん。小さなハサミは、吐き戻してチューブが口から出るという緊急時に備えて常備している。ことが起こったときには首筋にチューブをつなぎとめている糸をカットし、首からチューブを引っこ抜くのだ。なので先端が丸いはさみをチョイス。
水やご飯はシリンジに入れて湯煎で人肌にあっためている。水色の液体は抗生剤。流動食の前に入れる水に溶いている。
水や薬は10ml(メモリは12まである)のシリンジを使用。流動食は20ml、30ml、50mlのシリンジを試して今は20ml(メモリは25まである)に落ち着いた。
ちょっとだけ口から食べれるようになった
チューブフィーディングを始めて10日経過した頃から、少しだけ口から食べられるようになった。ときにはチュールを一本、チャオ生カツオを半分。ある朝など、起き抜けに他の猫のカリカリに口をつけているエドを目撃。ほんの数粒だったが。
食べ物の匂いに顔を背けていた頃からするとなんとも感動的な光景だった。
下画像は、焼き海老の匂いにキッチンまでやってきたエド。なんと廊下から声をかけてきた。エビはお正月とお盆だけ1匹づつ猫の食卓にのぼるエドとキコの好物なのだ。(生のエビは猫に禁忌なのでお気をつけください)
あまりにせっつくので、1匹ほぐして差し出すとなんと完食。そして数時間後に嘔吐した。エビは消化に悪かった。ごめんよエド。
今のところ、ウェットフードを一口、カリカリを数粒という感じで経口接種。なのでまだまだチューブを外せないエドである。
延命ではなくQOLと捉える食道カテーテル
炎症の数値が下がらないし、致命的な病気があるのかもしれないけれど、今のところはただ食べれないだけ。ならば食べられるように工夫すればいいじゃんと単純に思う。
猫は、起きてご飯を食べて遊んでウンチとオシッコをして寝る生き物だ。その「食べて」のところに支障が出たので、対処としての食道カテーテルである。これさえあれば、起きて寝てウンチとオシッコを生産できるのだ。
エドは首からご飯を食べるようになっても、昼はいくつかの寝床を渡り歩きながら惰眠を貪るという、以前と同じ生活を続けている。時には猫階段を登り猫棚の段ボールベッドに入っていることも。
天気の穏やかな日にはなかなか外ケージから戻ってこないので、こちらが外ケージに頭を突っ込んでご飯を流し入れる羽目になったりする。
同居猫に挨拶し、時には毛繕いしてあげたり。下はキコとのツーショット。
※包帯からはみ出たチューブに巻き付いた黒い糸は、チューブが抜けないように首筋に縫い付けられている。(吐いて口からチューブの先が出てきたら、あの糸をカットして首からチューブを引き摺り出すのだ。)
ご飯を食べれるようになるかもしれない。ならないかもしれない。15歳で平均寿命にほぼ達したエドである。猫も人も永遠に生きるわけではない。生まれた命だから死ぬまで生きる。それだけなのだ。