1歳猫のソックス・クロエ・お茶々は遊び盛り。家猫ゆえ、どうしても刺激が少なくなりがちな限られたスペースの中で過ごしている。それでも楽しめそうなちょっとの変化も見逃さないよう、日夜励んでいる様子。そして彼らの遊びの後始末に追われる人間たちである。
猫の屋内ハンティング
猫たちは動くものに目がない。
庭に多種の昆虫たちがひしめく我が家、不運にも彼らの鉤爪の届く範囲に居合わせたものは、狩りの対象として弄ばれてしまう。
ある朝、廊下の真ん中に怪しいものが。
最初は吐き戻しの猫草(胃液で茶色に変色していることもあるのだ)と思って処理しようとしたのだが、こと切れたオスのオオカマキリであった。
ウッドデッキの外ケージにやってきたところを夜警に出た1匹に見つかり、屋内へと拉致されたと思われる。寒さが増した昨今、夜露を避けてウッドデッキの屋根の下へ移動したのが仇となったか。無事成虫になって11月末まで生き延びた立派なカマキリである。
小さな虫にも全力で
下はレースカーテン裏のアブを狩るソックスとお茶々。
目ざとく発見したのは茶々だったのだが、手を出さずにじいっと見ている茶々に何事かと近づいたソックス、アブに気づいた途端一気にカーテンに飛びついてしまった。
猫複数匹での遊びの際、対象が一つの場合必ず1匹が主になる。誰かが持っている獲物には遠慮するようだ。
この時も第一発見者である茶々はタイミングを逸し、ソックスに主導権を奪われて傍観者となってしまった。
ソックス、キマダラカメムシに遭遇する
ある夜、腰は引けているものの勇敢にもカメムシと対決しているソックスがいた。体に散らばる黄色い斑点と頭の中央の真っ直ぐなラインが特徴的なキマダラカメムシである。
果敢に連続猫パンチを出しているが、ほとんどヒットしていない。空振りが幸いして臭腺からの分泌液はなかった。
そっと顔を近づけて匂いを嗅ごうとするソックスを押しとどめ、人間がカメムシを拉致(もちろんティッシュで)して屋外へ連れ出した。
キマダラカメムシは成虫越冬するのである。
チューリップ泥棒はだれ?
朝、少し遅くなったが保存していたチューリップを植えるべく、球根の入ったバケツをウッドデッキに置いた。
2時間ほどして、さあ植えるぞと外に出たところ転がった空のバケツ発見である。散らばった球根を拾い集めると明らかに量が少ない。
ケージの中のソックスがニャーと声をかけるので振り向くと、その足元に10個ばかり球根が転がっていた。
私は猫の手が届くところにバケツを置いてしまったらしい。
チューリップは猫に危険な植物。具合の悪くなった猫はいないが、猛省である。
しかし、バケツを転がし、猫手で球根を一個づつケージの中に転がし入れることを繰り返した根気には恐れ入った。この作業にはソックスのほか、クロエも加わっていた模様。
この後、猫が部屋に移動したタイミングで猫ドアに鍵をかけ、チューリップ回収、ケージの拭き上げを行った。
猫毛ボックス襲撃
掃除の途中、棚のホコリを払うため、猫毛を収納している容器を床に置いたらどこからともなくクロエ参上である。
観察していると猫手をボックスに入れて爪で引っ掛けて取り出している。時々は口にくわえ、ペペッと振り払ったりしながら次々と出していく。
他の部屋に掃除機をかけて戻ってくると、ボックスを空にしてクロエは姿を消していた。
この毛はクロエの大好きな毛玉ボールの材料なのだ。
あたりめのトレイを収奪
我が家の猫の中で唯一盗み食いを趣味とするクロエ。あたりめの入っていたトレイをテーブルの上から掠め取った。
イカは猫に禁忌のため、あたりめ本体はすでに猫手の届かぬところに避難させたのだが、取り出していたトレイへの配慮が足りなかった。
その他、鰹節やキャットフードの袋など、とにかく放置は厳禁。美味しげな匂いのついた空袋や脱酸素剤なども、油断するとササっとさらっていくのがクロエである。
茶々の重低音:ネズミ型おもちゃへの執着
どこかで重低音の猫の唸り声がする。
外ケージによその猫が近づいたか?と覗いて見るが姿はなく、音の出所を探すと机の下で茶々発見。
くわえているのはネズミ型おもちゃだ。どうやら近づいたソックスを牽制しているらしい。
猫にはそれぞれ遊びの好みがあって、クロエは猫毛玉転がし、茶々のお気に入りはダントツでネズミ型おもちゃなのだ。
普段は遠慮がちな茶々も、特に新品のネズミ型おもちゃが投入された日には猫が変わるというか、他の猫が近づけないくらいの勢いでじゃれる。首尾よくネズミを咥えることができたら別の部屋に運び込み心ゆくまで独り占めを楽しむのが茶々の流儀である。
そして、彼らの遊ぶ様を眺めるのが我ら人間たちの楽しみなのである。