海辺にある祖母の家で普通に食べていた「せい」

時々スーパーでも見かけることがある「亀の手」。祖母は「せい」と呼んでいた。リアス式海岸の多い大分県。海辺の岩場に行くと岩の割れ目を埋めるようにびっしりと「せい」があり、海辺の町では近所のどこの家にも岩から「せい」をコネて取るための金属棒の道具があったのだ。

海の幸「亀の手(せい)」と「にいな」に興奮の人間たち

「亀の手」は大分県の海の近い街の居酒屋ではメニューの一品としてもあるそうだ。スーパーでも時々見かける。
一緒に写っているのは巻貝の「にいな」だ。

ステンレスボールの中の「亀の手(せい)」と「にいな貝」
磯の香りがたまらないのである:20190606撮影

海の匂いに興味津々な猫たち

上の写真をウッドデッキの自然光の下で撮影したのだが、猫たちがぞろぞろと外ケージに集まってきた。
心そそる初めての匂いに引き寄せられてきたらしい。

ケージの近くに置くと、早速ニョキニョキと猫手が出てきた。キコはちょいちょい触るぐらいだが、ソックスは本気で取る気でいる。クロエは嗅ぐだけで手出しなし。

ケージのオリ隙間から手を出して「亀の手」に触る猫たち
撮影中、B群猫たち興味津々:20190606撮影

初見はグロい?亀の手

「亀の手」を初めて見る人からするとグロテスクで食欲が失せるかもしれない。が、これが美味いのだ。

亀の手(せい)のアップ画像
不気味と言われれば確かに・・・

「亀の手」も「にいな」もシンプルに塩茹でが一番美味しい

「亀の手」はひとかたまりになって岩についているので、お尻のところがくっついている。
我が家ではあまりに大きな塊の場合はバラすが、3、4個ほどの塊ならそのまま茹でてしまう。

「亀の手」も「にいな」も砂地ではなく岩場にいる貝なので、砂吐きなどの下処理をした記憶がない。とりたてをそのままゆでるのだ。

塩茹でした「亀の手(せい)」と「にいな貝」
塩ゆでが一番です

「亀の手」はビリビリと裂いて食す。

「亀の手」の爬虫類の肌めいた下の部分を指で「ビリビリ」と裂く。油断すると中にたっぷり詰まった水分が、顔や服にピッと飛んでくるのでご注意を。

下の画像のピンクの部分が食す部分。引っ張るとスポっと抜ける。時々、黒い触手めいたものがくっついて出てくるが、その部分は食べない。背が高いと長い身が、背が低いと短い身が出てくるわけだ。

亀の手(せい)の塩茹での剥き身
ピンクの部分を食べるのだ

そして「亀の手」の身は時々もっと太かったり、朱色がかった色だったりする。
食感は「クニクニ」した感じ。
とにかくお試しあれ。

「にいな」は針でクルクルと

針の方が身を抜きやすいけれど、蓋が柔らかいフィルム状なので、爪楊枝でも抜ける。
お尻の先まで食べられるが、私はお尻を外す派だ。

塩茹でした巻貝「にいな」の身を爪楊枝で取り出す
フィルム状の蓋がある:20190606撮影

こちらは「コリコリ」とした食感である。

猫たちが食卓を襲うこともなく、平和にコリコリとクニクニを堪能した夜であった。