原題は「SEVEN CATS AND THE ART OF LIVING」

我が家の猫本2冊目は「ねこ的人生のススメ」。
手元にあるのは文庫本。お茶々っぽいキジ猫の写真が表紙だ。

1998年発行の単行本では「心に残る7匹の猫」というタイトル。文庫化の際「ねこ的人生のススメ」に改題され、副題に「しなやかに生きるための7つの法則」とある。

「7匹の猫」はタイトルに残して欲しかった

ともに過ごしたそれぞれが個性的な7匹の猫の観察から紡ぎ出した、生きるためのヒントが詰められた本だ。だから文庫版に際して改題されたようだが、1匹いっぴきとの出会いや、個々の猫の性格を物語る幾つものエピソード、胸に刺さる別れの描写などを読むと、「7匹の猫」のフレーズは不可欠な気がする。

猫の生き方と人の生き方をリンクさせて眺める

作者は猫を猫として眺める。その距離感が心地良い。
猫たちの行動や表情、鳴き方や歩き方、ヒゲの動かし方まで観察して彼らが感じる喜びや不安、恐れや充足感などをおしはかる。そして彼らがそれぞれの猫生に対処する方法を、人の生き方へのヒントに落とし込んでいく。

いくつもの命が傍らを過ぎていく

本の終わりの方で、登場した7匹のうち6匹はすでになくなり、1匹と新しい猫たちと暮らしているという記述がある。

心裂かれる思いを経ても、喪失への恐れにひれ伏すことなく新たな猫を愛することができるのだ。そうすべきと書いてある。

毛布に寝そべるキジ猫
茶々の見つめる先には猫じゃらし:20201101撮影

「生きるための法則」に興味がなくても、猫好きな人なら面白く読めるはずだ。