蜜柑のような提灯のようなコミカンソウの果実
西の庭に毎年現れるコミカンソウは、引っ張るとあっさり抜ける雑草だ。瑞々しい緑色に、所々に入る朱の対比が鮮やかな美しい草で、我が家では観葉植物の評価を受けている。
コミカンソウ:日当たり抜群のコンクリートの隙間にて
コンクリート張りの駐車場と立ち上げ花壇の縁の隙間には、季節季節に数種の野草が生えてくる。今、美しいのはコミカンソウ。
緑のグラデーションに赤色のアクセントが効いている。おそらくレンガのオレンジ色もこの草の魅力UPに貢献している。
緑と赤は互いを引き立てる補色関係だ。
面白い草で、夜になるとオジギソウのように葉を畳む。それに葉の下を覗くとオレンジ色の小さな玉が枝下に連なっている。
上下の詰まったちょっと扁平なこの玉の形が「小蜜柑草」という和名の由来だ。
赤い玉は果実。
下画像、枝先に白い花弁をもつ花が、とてもとても小さく咲いている。
確かに、蜜柑っぽい。でも別のものにも見えないか?
秋空に祭り提灯
秋空を背景にしたコミカンソウを眺めつつ、連想したのは祭り提灯。
準備万端、飾りつけられた提灯を見上げて、夜祭の始まりを期待するあの気分だ。(自分、お祭りロスなのかな?)
クリスマスツリーのイルミネーションのように、コミカンソウの実に灯がともり、ヌマガエル(よくこの場所に現れるのだ)くらいのサイズになってこの草を見上げたら、それはそれは眩いだろうな・・・。
でも、コミカンソウの足元には、そんな妄想を現実に引き戻す日常があった。
コミカンの殻を集める生き物
コミカンソウのすぐ近くのコンクリートの上に何やら小山ができている。
実の殻のようだ。明らかに周囲から掃き集めたような不自然さ。
ところどころ、殻が微動する箇所があり、そこには勤勉に働くアリの姿が。
このおびただしい殻を一つ一つ運んだものらしい。(コミカンソウは、果実殻もやっぱり乾燥して干からびた蜜柑の皮みたいだ。)
おそらくこのミニチュア蜜柑皮の小山の下で、アリたちによる虫か何かの解体が進行中だ。
いつもは砂を利用するけれど、今回たまたま獲物の近くに、嵩のわりに軽量なコミカンソウの殻が多量にあったのだ。フレキシブルだなあ。