庭でヒミズがコロンと死んでいる
先日、伐採した梅の枝の片付け作業中のことだ。
ブーンと聞こえてきた羽音の主は大きなハエ。どこに行くのかなと軌道を追うと、ハエがとまったのは10センチほどの体長の動物の死骸だった。
動物の死骸や、昆虫の捕食画像があります。苦手な方はご注意を。
ヒミズ:モグラっぽくも、ネズミっぽくもあり
尖った口元と小さいながらもトンネル掘りに重宝しそうな前足を見てモグラだと思ったのだが、モグラにしては後ろ足がほっそりと長い。
ネズミに見えないこともないが、ネズミのツルンとスマートなシッポとは大層異なるブラシのようなボサボサ尾っぽ。
なんだ?これは?とネットで調べて、「ヒミズ」という名前の動物と判断した。
日本固有種の動物:ヒミズ(日見ず)はトガリネズミ形目モグラ科ヒミズ属
モグラのイトコみたいなものだろうか。食生活はミミズも昆虫も植物の種なども食べる雑食性とのこと。モグラほど完全地中生活ではなく、掘るトンネルも浅め、地上でも活動できるそうだ。
よくバネがききそうな後ろ足、モグラよりも俊敏に動けそうに見える。
ヒミズは、山でコロンと死んでいる?
「モグラに似た動物」で検索してヒミズと判断したのだが、山でコロンと死んでいるところを見つけたという情報が多い。
我が家のヒミズ君もコロンと死んでいた。特に外傷もなく何かに襲われたという様子ではない。
この小さな庭でも植物、昆虫、爬虫類に鳥類と、食物連鎖はある。
たとえば蜘蛛の巣にかかった蝶の千切れた羽だったり、カエルに一瞬で飲み込まれる芋虫だったりを目撃するのだ。みんな何かを食べて生きているのだから、それは自然なことだと受け止めている。
けれどネズミほどの大きさのある動物が、ただコロンと死んでいるというのはどういうことなんだろう?
2日目:死体をそのまま放置、腐敗が始まる
家族は気持ち悪いから土をかけて埋めろというのだが、ヒミズ君がここでコロンと死んだのなら、ここにそのまま残るのが自然なことだろうと放置。するとこのところの暖かさで、腐敗臭が漂い始めた。
小さな体であっても腐敗臭は強烈で、屋外にもかかわらず数メートルの距離までプーンと漂ってくる。外観はほとんど変化がなく、分解されるまでにしばらく日数を要するだろう思っていた。
3日目:忽然と消えたヒミズ君
朝、死臭を覚悟してヒミズ君の様子を見に行くと、ない!
一番上の写真の、ヒミズ君の部分だけが画像加工で消去されたみたいになくなっていた。
何かが食べたんだろうか?
この庭にヘビも来るがまだちょっと寒すぎる。先日近くの山で冬眠から覚めたばかりらしいニホンアナグマを目撃したが、いちばん死体を見つける可能性の高い肉食獣は、この辺りを縄張りとしている猫である。
我が家のキコは野良猫時代、マンソン裂頭条虫をお腹に飼っていた。カエルやヘビを食べていたということだ。もう死んでしまったフクちゃんは鳥やモグラをよくお土産に持って帰ってくれていた。
でも、腐敗の始まった死体を猫が食べるかな?
いや、いつも近くの電柱のてっぺんで睨みをきかせているカラスが食したのかもしれない。
でもまあとにかく、蛆虫たちのご飯になって自然にかえると思っていたヒミズ君は、別の何かのお腹に収まったのだ。
「庭でヒミズがコロンと死んでいる」ちょっとした異様さも、何かが食べたことで、全て自然の循環の中のことと腑に落ちたのだ。