焼いた骨は分解されにくいのである

2017年に亡くなったソナとフク、今年2021年5月に亡くなったエド、3匹の猫の遺骨を粉骨して埋葬した。3つの骨壺が並んだところを見ていると、いい加減早く埋葬しろと彼らにせっつかれている気がしたのだ。

ごめんよ遅くなって

家のものは最初、全ての猫が亡くなったら(つまり8つの骨壺が並んだら)埋葬するなんて言っていた。でも、3つの骨壺が居間に並んだ時点で、壮観と言うか、我が家への訪問客の視点から考えると、ものすごく引いてしまう光景に違いない。

骨壺の主、ソナ、フク、エドの3匹は、我々と一緒にこの家に引っ越してきた猫で、特にソナとエドは10年以上を共に暮らした。
彼らもようやく一緒になれたし、すべての猫が天寿を全うするのはまだまだ先のことで、そんなに長く3匹を引き止めるのは申し訳ないと、埋葬することになった。

もとから土に返すつもりだったので、骨壺は処分に困る陶器ではなく紙製。結露しにくい厚紙のパッケージに密封されていたことが幸いしたか、長く待たされたソナとフクの骨にカビはなく、状態は見た目、火葬した時のまま。ほっとした。

蓋を開けて、家族共々ちょっと涙ぐみつつ、3匹の骨に改めて、ありがとうとさようならの挨拶である。

今からゴリゴリしますよと声をかけて、粉骨開始

焼かれてセラミック状になった骨は、形がなくなるまでに気の遠くなるような時間がかかる。土に埋める前に彼らのために骨をパウダー状に砕かなくてはならない。

また、火葬場で焼かれた骨には時折、発がん性のある六価クロムが吸着していることがある。長年高熱にさらされ続けたステンレス台から発生するものだ。猫たちを横たえたのは耐熱煉瓦の上だったから大丈夫だと思ったが、とりあえずマスクと手袋は必要だ。それに粉になった彼らが勝手に空に舞い上がってはいけないので作業は屋内で。

粉骨のために購入したのはスパイスなどを砕く際に使う花崗岩の乳鉢と乳棒。重量がある。
今回3匹、いずれ後の5匹もゴリゴリすることになる。

最初にソナの骨を器に少しだけ入れ「ソナ、今からゴリゴリするよ〜」と声をかけて乳棒で押すと小さく割れていく。破片になったところで擦り始めると思ったよりすんなりパウダーになった。

粉を取り出し、また骨を少し入れて同じ作業を繰り返す。そのうち、白猫だったソナが、ふんわり白いパウダーの小山になった。

ソナの次はフク、そのあとエド。
雌猫だったソナとフクの骨は砕けやすく、雄猫だったエドは骨格の違いからか少し硬いところがあった。
3匹の骨を粉にするのに要した時間は30分。

終わった時、自分が泣いていて驚いた。でも辛かったわけではない。

始める時こそ、ちょっとだけ悲壮な覚悟を持って臨んだ粉骨作業だったけれど、できることは最後まで自分の手でしてやりたかったし、一定のリズムでゴリゴリしていると彼らを身近に感じてなんだか穏やかな気持ちになったのだ。でも涙は出る。

植物の根が彼らを土に返してくれる

彼らを埋葬するにあたって、1メートル四方の花壇を作った。土を耕し深い穴を掘り、その中で白い粉になった彼らを土と混ぜた。そして埋め戻す。彼らの上で育つ植物の根が少しづつ白い粉を分解しながら吸収していくのだ。

そしてソナとフクとエドは自然に還り、完全に自由になる。そんな気がする。

秋空とキクイモの花
青空とキクイモの花:20210919撮影

ちょっとだけ海への散骨も考えた。自分が海洋散骨希望なのである。
でも3匹とも海を見たことがない。いきなり塩辛い水の中に放たれたらびっくりすると思って、やめた。

一区切りついたので、彼らの絵を描きたい。