初猫ヨナは突然に

高校の夏休み。

中学の頃の同級生が集まって、なんとなく遊んだ夕方、その中の1人の家で、お盆に帰省した親戚が連れて来た猫がお産したという。珍しいもの見たさでその子の家にみんなして行くことになった。

母猫は確かシャムだった。白い腹に色柄違いの4つ5つの塊がもぞもぞとくっついていて、それが子猫たちだった。

生まれたばかりの赤ちゃん猫を初めて見た私たちは、母子が寝ている箱を覗き込み、この子が可愛い、いやコッチがいいなどそれぞれが勝手にお気に入りを決めていく。その中に一匹だけ指名されない子猫がいた。

他の子猫たちはピンクの地肌に、真っ白だったり白毛に赤やキジのブチだったと思うが、その子は真っ黒。どうにもみすぼらしく見えたのだ。なんだか切なくなって、つい「この子が一番可愛い」宣言を私はしてしまったのだ。

お盆が過ぎて数日後、黒い子猫を持った友人が、我が家にやって来た。
「この猫が可愛いって言ってたから」と彼女。なんと親戚は母猫を連れて県外へ帰ってしまったとのこと。

そう、初めての猫は突然やって来た。
そこから始まった猫歴を記録しておきたいと思う。

母猫と子猫3匹のモノクロイラスト
子猫たちの中で一匹だけ真っ黒だった